2019年10月2日(火)
第345回高知県議会 平成30年度9月定例会一般質問

県議会のホームページで、議会の録画がご覧になれます(別窓で開きます)




■大野たつや
土森議長にお許しをいただきました、県民の会の大野辰哉です。いつものようにお聞き苦しい点多々あるかと思いますが、ご答弁の程どうかよろしくお願いいたします。


先日大変嬉しいニュースがありました。
かねてから懸案となっていた、香南市のルネサス子会社高知工場の承継先として、医療衛生品などの製造販売で国内トップ企業の丸三産業が決定したことが発表され、これにより、従業員の雇用や地域活性化などに大きな期待がもてることとなりました。
知事はじめ関係者の皆様のこれまでの粘り強い交渉、ご尽力に対しまして、あらためて敬意と感謝を申し上げたいと思います。


それでは、通告に従いまして随時質問をさせていただきたいと思います。

 
 1. 障害者雇用
 

■大野たつや

まず、障害者雇用の問題についてお伺い致します。

国の機関や地方公共団体などで、障害者の法定雇用率を水増ししていたことが発覚しました。障害者の雇用と自立支援を促進する立場の行政機関の信じがたい実態の発覚に、障害当事者や障害関係団体などからは、「政府による改ざんやねつ造などには、だいぶ免疫がついていたはずだったが、雇用水増し問題は次元が違う、行政に通底する「障害者排除」の姿勢そのものに恐ろしさを感じる」といった声や、「障害者は雇い入れたくないという行政組織の姿勢が表に出ただけ」などの悲痛な声も聞かれます。

障害をもたれている多くの方の公務職場、公の機関で働く機会が、公によって長きにわたって奪われてきたという事実は大変重たく、行政機関の責任は重大ではないかと思います。今議会においても多くの方々が様々な視点からこの問題を取り上げ議論がなされているところでありますが、私からも数点質問をさせていただきたいと思います。

国や県、自治体、独立行政法人が法定雇用率を完全に達成すれば、全国で約5万人の障害者が公的な部門で働くことができるとも言われていますが、まず、本県の公的部門において、法定雇用率を達成した場合、雇用できる障害者は何人になるのか総務部長にお伺いしたいと思います。

 

●君塚明宏総務部長
障害者雇用率の算定に当たりましては、重度障害の方にあっては2倍、短時間勤務職員の方にあっては0.5倍といった換算を行うことになっております。知事部局では、法定雇用率2.5%を達成した場合の対象となります職員数は、全員がフルタイム勤務の重度でない障害者の方として計算した場合、90人分となりまして、現在雇用している75人分に加えまして、あと15人分の雇用が必要となります。
同様に計算いたしますと、公営企業局では9人分となりまして、あと5人分。法定雇用率が2.4%であります教育委員会では、141人分となりまして、あと18人分の雇用が必要となるという状況でございます。

 

■大野たつや
県においても、厚生労働省の通知、ガイドラインによる法定雇用率を満たしていない実態があったとのことでありますが、国など県外の他の機関などでは、障害者の雇用率を引き上げるために、職員が人事担当課から障害者枠への名義貸しを依頼されたり、死亡された職員を算入したり、本人が知らないうちに障害者枠で雇用されていたことなど、悪質な運用の実態が報道もされておりますが、障害者雇用に関して、本県においては、そうした不適切な水増し報告の運用事例はなかったのか、その有無について、総務部長にお伺いしたいと思います。

 

●君塚明宏総務部長
本県におきましては、法定雇用率用を満たすために、対象とならないことが明らかな職員を故意に加えるといった悪質な事例はなかったものと考えております。

しかしながら、国の今年度の通知等を踏まえますと、障害者手帳等所持していることが確認が取れ、かつ、集計結果を国への報告に用いることに同意していただける職員のみを対象とする厳格な運用が求められております。今回の調査によりまして、国の通知等の確認が不十分であった、障害者手帳を所持しているとの人事申告があった後の状況の確認を行っていなかった、また、医学的知見が十分でない職員の判断により障害者手帳を所持する職員と同等の障害があると思われる職員を対象として含めていたといった不適切な運用がございました。また、手帳を所持者と同等の障害があると思われる職員を対象に含めていることを本人には伝えておりませんでした。これらのことにつきましては、反省し、おわび申し上げますとともに、今後適切な対応をしてまいりたいと考えております。

 

■大野たつや
本県においては、手帳所有者と同等の障害があると思われる方を医師の診断などにより含めるなど、手帳によらない、手帳主義でない柔軟な運用により、障害を持たれている方の雇用も推進してきたと理解しています。

心臓機能障害やこの4月から雇用が義務化された精神障害などは、その方の症状や状態によって、障害者手帳の等級や取得状況も変化することがあります。また、手帳を持つことに抵抗のある障害を持たれている方もおられます。

厳格な取り組み以上に、社会的支援が必要な方が障害者であるという広い視点でも考え、障害を持たれている方も健常者も安心して働き続けられる職場環境を作る、県庁の職場から積極的なそうした取り組みを進めていただきたいと思います。

また、今回の調査で明らかとなった、手帳の確認がないまま、勤務する職員が、この問題によって不利益な扱いを受けることのないことは当然ですが、個人情報の保護など個人のプライバシーについての、慎重な対応や配慮も要請しておきたいと思います。

障害者の雇用には、重要な役割があります。障害者の雇用が少ないと、職場の障害者への理解や職場環境の改善は進みにくくなりますし、障害者の視点が入ることによって、より広い視野での計画づくりや政策の立案も可能となります。

公的な部門で働く障害者には、そうしたかけがえのない大きな役割も担っていると思いますが、今後の障害者雇用の推進策について総務部長にお伺いしたいと思います。

 

●君塚明宏総務部長
議員、御指摘のとおり、障害者雇用そのものが重要であることに加えまして、県政運営におきまして障害者の方からの視点が入るということは必要なことと認識しております。

今後、知事部局におきましては、障害者雇用を進めるために、以下の取り組みを進めてまいりたいと思います。

まず、本年度中におきまして、速やかに業務及び体制を検討いたしまして、非常勤職員の追加募集を行います。また、来年度に向けまして、正職員について10月、今月予定されております身体障害者を対象としました県職員採用選考試験に加えまして、さらに追加募集を検討いたします。平成31年度以降につきましても、障害者枠での採用や非常勤職員採用の拡大を検討いたします。さらに、知的障害者及び精神障害者の採用の拡大についても検討してまいりたいと考えております。

こうした障害のある方々を配置するにあたりましては、職場におけますサポートや支援が図られることが重要であります。障害者を受け入れる職員の意識啓発も含めまして、職場における受け入れ体制の整備に努めてまいりたいと考えております。

 

■大野たつや
昨年度、障害者を雇っていない企業に負担を求める「障害者雇用納付金制度」に基づき、企業が国に支払った納付金は293億円に上り、そのうち227億円が基準を上回った企業などに調整金などとして支給されているとのことでありますが、水増しの報告の行政のそうした姿勢は、罰則まで課せられながらも、法定雇用率の未達成が半数に上る、民間企業の障害者雇用にも大きな影響を及ぼすのではないかと思います。

そこで、本県の障害者雇用義務のある企業数について、地域福祉部長にお伺いしたいと思います。

 

●門田純一地域福祉部長
高知労働局が公表しています平成29年障害者雇用の状況の集計結果では、平成29年6月1日現在で、県内の法定雇用義務のある従業員の常時雇用が50人以上の企業は488社あります。

 

■大野たつや
それでは、本県の法定雇用率の未達成企業数について、地域福祉部長にお伺いします。

 

●門田純一地域福祉部長
同じ集計結果では、県内の法定雇用率未達成の企業は、法定義務企業の約4割、191社となっております。

 

■大野たつや
それでは、本県の障害者雇用納付金の額について、地域福祉部長にお伺いします。

 

●門田純一地域福祉部長
障害者雇用納付金は、未達成企業のうち常時雇用している従業員が100人を超える企業が支払うこととされており、独立行政法人高齢者障害求職者雇用支援機構高知支部によりますと、本県における平成29年度の障害者雇用納付金は、90社が支払い、その額は7,745万円となっています。

 

■大野たつや
今回の水増し問題では、厚生労働省からの通知の理解不足を原因とする団体が多いようですが、行政のプロが通知を理解できなかったというのは少し理解がしがたい部分もありますが、「制度の理解が不十分だった」「悪意はなかった」が通用するとなれば、障害者雇用のデータだけでなく、各種データを基礎として策定される様々な政策や施策そのものの信頼もゆらいでしまうのではないかと思います。

水増し問題での行政への不信が、障害者雇用のハードルを益々上げてしまい、この国全体の障害者の雇用機会をものすごく減らしてしまうのではないかと危惧しています。

今後は、障害者雇用のハードルを下げていく努力を官民挙げて行っていかなくてはならないと思いますが、本県における民間企業への障害者雇用の促進策も含めた障害者雇用促進の具体的な施策について、地域福祉部長にお伺い致します。

 

●門田純一地域福祉部長
これまでも、県内の法定雇用義務のある企業、民間企業、毎年ハローワークと連携して訪問し、障害者の雇用の意義や障害のある方の職業訓練制度などの雇用の支援策を説明し、障害者の雇用促進に取り組んできたところです。

これからは、企業訪問する際には、まず、今回の県庁の障害者雇用に関しまして、その経緯を説明しおわびするとともに、今後、県庁としてしっかりと障害者雇用に取り組むことを御説明をいたします。その上で、障害者を雇用して活躍の場を提供することは企業にとってもプラスになることを改めて御説明をし、理解を求め、障害者雇用に結びつけていきたいと考えています。

あわせて、新たな雇用に際し、職場環境の施設整備の助成や雇用後のフォローアップなどを行い、採用から定着までを一貫して支援をすることにより、障害者雇用を促進してまいります。

 

■大野たつや
民間企業には金銭で解決を図らせながら、自らは水増し報告で誤魔化してきた障害者雇用に対する行政の姿勢、旧優生保護法に基づく不妊手術の実体の表面化、LGBT性的少数者を生産性がないと表現した国会議員の発言、2年前の相模原市つくいやまゆり園でおきた殺傷事件などなど、近年の障害者に関する多くの事件や一部国会議員の心無い発言などにより、あらためて浮き彫りになったことは、経済的に豊かになったとされるこの国で、障害者が就労することには、まだまだ大きな壁があるという事実。

さらには、優性思想や差別、排除の論理もいまだに日本の社会には根強く残っているという現実です。

あらためて、これからの世の中、社会が生産性を基準に排除を容認するような社会でなく、全ての人が分け隔てなく、安心して暮らしていくことのできる、やさしい共生社会、国、そして高知県になってほしいと思い、願うものであります。

この項目の最後に、近年の障害者を取り巻く様々な問題や、一連の事件を踏まえた、尾ア知事の共生社会への思いと、優しい高知県づくりについてお伺い致したいと思います。

 

●尾ア正直知事
障害のある人もない人も、ともに支え合い、安心して生き生きと暮らせる共生社会を実現する、このことは、日本一の健康長寿県構想にも柱として掲げてきて、本県として取り組んできていることであります。そういう中において、高知県庁の障害者雇用に関して、不適切な運用がありましたことについて、本当に心から改めておわびを申し上げたいと、そのように思います。

今後まずは、この不適切な運用について早期に是正をして、厳格な基準によっても早期に法定雇用率を満たすことができるように早急に取り組んでまいりますとともに、あわせまして、議員の御指摘にもありましたような手帳のあるなしにかかわらず、障害者雇用を促進できるような、そういう柔軟な施策というものもあわせて講じていけるように取り組んでいきたいと思います。

また、これまでも御指摘いただきましたが、知的障害者、精神障害者の皆様方にも、よりいっそう御参加いただけるような取り組み、これも研究を重ねながら対応を強化していきたいと、そのように考える次第です。
そして、あわせまして、全体として障害者の皆さん、高齢者の皆様ともに共生社会の中において、お互いに支え合いながら暮らしていく高知県をつくることは非常に大事なことであります。そのためにも、これまでも、あったかふれあいセンターの取り組みでありますとか、さらには、子供食堂の取り組みでありますとか、高知型福祉と申しておりますけれども、いわゆる意図的、政策的に支え合いのネットワークをつくる取り組みを進めてきました。こういうことを今後もしっかりと進めていきたいと、そのように考えておるところです。

いずれにしても、特に高知のように、中山間地域が多いとか、さらには経済的に厳しい状況にあるとか、こういう県においては、意図的、政策的に支え合いのネットワークをつくるということが非常に大事だと思いますので、こういう方面の政策、引き続き強化をしていきたいと、そのように考える次第でございます。

 

 

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2. 高知県立大学の蔵書の除却と図書振興

 


■大野たつや
次に高知県立大学の蔵書の焼却についてお伺いいたします。

私の母校、高知短大、高知県立大学永国寺図書館で3万8千冊にも及ぶ図書、蔵書が除去されたという大変ショッキングな事実が発覚しました。

蔵書の除却に際しては、全教員の意見も聞き、大学内部で十分な時間をかけ検討をしたうえで、学内規程の基準に基づき処分がなされたとのことで、学内組織としてのコンセンサスは得られていたということだと思いますが、一方で、図書の購入には多額の県民の税金も使用されており、そうした視点、高知県の公(おおやけ)立大学法人という基本的な視点が欠落していたことは大変残念なことであります。

私自身も新聞報道があるまで焼却処分の事実を知りませんでしたので、その報道を見た時、高知短大OBの一県民として、すごく残念な気持ちにもなったものですが、まず、県は、高知県立大学が蔵書の焼却処分を決定し、実行する際に、その事実を知っていたのか、文化生活スポーツ部長にお伺いしたいと思います。

 

●門田登志和文化生活スポーツ部長
県は、知りませんでした。

 

■大野たつや
それでは、大学側から県に対して、焼却処分の検討過程の段階で、相談や助言を求められたこともなかったのか、文化生活スポーツ部長にお伺い致します。

 

●門田登志和文化生活スポーツ部長
県には、大学からは相談や助言を求められたことはありません。

 

■大野たつや
それでは、蔵書の焼却の検討段階から実行まで、大学内部の判断だけで行ったということでしょうか、文化生活スポーツ部長にお伺いします。

 

●門田登志和文化生活スポーツ部長
大学からは、大学の判断で行われたとお聞きをしております。

 

■大野たつや
大学では外部人材による検証委員会を設置して、この問題の検証をしていくとのことでありますが、検証委員会の人選については、どのような視点で人選をされたのか、文化生活スポーツ部長にお伺いしたいと思います。

 

●門田登志和文化生活スポーツ部長
大学が設置した検証委員会の委員の人選に当たっては、県内外から広く選ぶこと、大学図書館や公立図書館の運営に詳しい方、県内の図書館新興のための計画づくりなどに関わられたことのある方、図書館を利用される立場の方といった視点で選ばれたと大学からはお聞きをしております。

 

■大野たつや
検証委員会には、学生や県民の意見なども取り入れるなどして、県立大学の組織の在り方も含め、県民に広く開かれた、より良い大学となるための幅広い議論も行っていただきたいとも思いますが、検証委員会に対して県が期待していることについて、文化生活スポーツ部長にお伺いしたいと思います。

 

●門田登志和文化生活スポーツ部長
検証委員会に対しては、今回の蔵書の除却処理等の手順や処分方法、除却処理後の活用方法などをしっかりと検証していただくとともに、大学図書館の今後の蔵書の適切な管理や運営に生かせる議論をしていただきたいと考えております。

 

■大野たつや
蔵書の焼却問題を教訓として、教職員間はもとより、学生と教職員、さらには県民も含めて風通し良い、県民に根差した、より良い大学となっていただくことを県民の多くも期待していると思います。県としてこれからの大学にどの様な期待をされているのか、文化生活スポーツ部長にお伺いしたいと思います。

 

●門田登志和文化生活スポーツ部長
永国寺キャンパスは、県民に開かれた社会に貢献する知の拠点として整備をしたものです。この考え方に基づいて、高知県立大学では、教育研究活動を始め、社会貢献活動に取り組んでおり、このうち社会貢献活動では、公開講座や県民開放授業を充実するなど、県民の皆様の学びの機会の提供に積極的に取り組んでおります。また、域学共生の理念のもと、全ての学生と地域住民がともに学び合いながら、地域の課題解決にも取り組んでいます。

大学には、今後も質の高い教育、研究活動を行っていただくことはもとより、こうした社会貢献活動などを充実することによって、県民に開かれた大学としてその役割を果たしていただきたいと考えております。

 

■大野たつや
今回は検証委員会の人選も決まっているということなので、あまり幅広い議論はできないかも知れませんが、いずれかの時点で、短大の廃止がどうだったのか、大学の法人化がどうだったのかといった検証などもしていただき、県民から愛され親しまれる、高知県立大学に益々の発展を期待したいと思います。


高知県立大学の図書の問題に関連して、知事も所信表明の中で「県内各図書館へのバックアップを強化するなど県全体の図書館振興につなげていきたい」とおっしゃられておりましたが、県内ではこの夏オープンしたオーテピアをはじめ、県内で多くの公立図書館が整備されていますが、一方で、県内には図書館の整備がされていない自治体もまだまだあると思います。


そこで、県内において公立図書館が未整備の自治体数について教育長にお伺いしたいと思います。

 

●伊藤博明教育長
県内における公立図書館が未整備の自治体数は、10町村となっております。全体の約3割で未整備となっており、特に、中山間地域では設置が進んでいない状況にございます。
なお、図書館が未整備の町村では、公民館図書館が設置されているということになっております。

 

■大野たつや

私は以前、教育委員会の事務局職員として公民館で勤務をしておりましたが、町には図書館はなく、公民館の一室に図書室を設置して対応していました。それは町村合併前の3町村それぞれ同じような状況でもありましたが、図書を利用する住民は一日に一人いるかいないかで、何日も利用がないような状況もありました。


山間地域では、地理的事情や住民の高齢化などから、住民の皆様がなかなかそうした図書に触れる機会が少ないのが現状です。そうした状況から、地域の集会所に図書コーナーを設け、公民館の図書を巡回するような仕組みを検討したこともありましたが、集会所での管理や人的理由などから実現には至らなかったこともありました。


今は県内各地に集落活動センターやあったかふれあいセンターが整備されてきておりますので、そうした管理や人的部分は、一定クリアできる体制が整ってきているのではないかと思います。
そこで、中山間地域での巡回図書など、集落活動センターやあったかふれあいセンターを活用した図書の振興策について、教育長にお伺いしたいと思います。

 

●伊藤博明教育長
本年7月に策定しました高知県図書館新興計画では、オーテピアの豊富な蔵書を県内各地の図書館や公民館図書館などの拠点を通じて借りられるサービスを幅広く周知するとともに、このサービスを受けられる拠点の拡大を図り、県民の皆様の利便性を高めることといたしております。インターネット環境があり、本を貸し出すことができるなど、一定の要件を満たした場合は、図書館や公民館図書室に限らず、例えば、お話のありました集落活動センターやあったかふれあいセンターなどを拠点とすることも可能なことから、地域、地域の図書館業の充実に向けた方策の1つとして考えているところでございます。

今後、こうした住民の方々のつどいの場の活用も含めまして、市町村の意向もお聞きしながらサービス拠点の拡大を図っていきたいというふうに考えております。

 

■大野たつや
図書館は住民の知の拠点とも言われています。オーテピアの完成や図書館振興計画の策定、さらには集落活動センターやあったかふれあいセンターなども活用しながら、地域住民の図書に触れる機会をできる限り県下全体へ広げていただきますよう、県のご支援をよろしくお願いしたいと思います。

さらに図書館の新設や老朽化による建て替えなど、市町村図書館の整備に関する県の支援についてもお願いしておきたいと思いますが、教育長にお伺いしたいと思います。

 

●伊藤博明教育長
県教育委員会の市町村立図書館への支援といたしましては、オーテピアの県立図書館が実施する蔵書の貸出や司書の巡回訪問による相談支援、市町村立図書館職員を受け入れて行う研修など、ソフト面での支援となっておりまして、図書館の新設や老朽化による建てかえなどへの財政支援は行っておりません。

市町村の図書館整備においては、まずは、それぞれの市町村が住民にどのような読書環境を提供したいのか、目指す姿を描くことが大切だと考えております。その上で、県教育委員会としまして、高知県図書館振興計画に基づき、新たに設置する協議会におきまして、モデルとなる事例やそれぞれの市町村が描いた目指す姿の実現に向けまして、必要となる支援策の導入などについて検討を深めていきたいというふうに考えております。

今後は、市町村訪問などを通じまして、財源も含めた県内外の図書館整備事例や先ほどの集落活動センターなどの活用例も掲示しながら、各市町村における図書館振興の検討を促してまいりたいというふうに考えております。

 

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3.新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備

 

■大野たつや

次に新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備についてお伺い致します。

県内唯一の管理型産業廃棄物最終処分場である、日高村のエコサイクルセンターが、予想以上の早さで満杯となることから、有識者らによる「最終処分場候補地選定委員会」において、候補地の選定に向けた議論が重ねられた結果、最終処分場の候補地として、須崎市、佐川町、香南市の3か所が適地として絞り込まれ、最終的な絞り込みにあたっては、現在、対象となる自治体の首長、議会への説明や情報提供、地元住民への説明会などが開催されております。


私も地元で開催された住民説明会へも出席させていただき、県林業振興環境部からの説明を聞かせていただくとともに、多くの地域住民の皆様のご意見もお伺いさせていただいたところでありますが、あらためて、この間の林業振興環境部長をはじめ、担当職員の皆様のご労苦に対して、敬意を申し上げたいと思います。
各地での住民説明会においては、地域住民ならではの視点での整備における留意点や住民の皆様の不安や思いなど、様々な意見や助言、質問などがあったものと思いますが、
新たな産業廃棄物最終処分場候補地におけるこれまでの住民説明会で、住民から出された主な意見や質問内容について林業振興・環境部長にお伺いしたいと思います。

 

●田所実林業振興・環境部長
本年2月に、3カ所の最終候補地が選定されまして以降、県ではそれぞれ地域で候補地の選定過程や施設の必要性、安全性などに関する説明会と、先般、取りまとめました各候補地の現地調査の結果に関する説明会を行ってきたところでございます。

これまでの説明会におきまして、住民の皆様からは、南海トラフ地震などの大規模災害による施設の損壊のおそれ、遮水シートの破損などにより汚水が漏れるおそれや、万が一最終処分場から水が漏れた場合の日常生活や農業などへの影響、また、山林を開発することにより集中豪雨などにおける下流域での増水のおそれ、候補地周辺の交通量や大型車両の通行の増加に伴う危険性、そして、施設廃止後の将来にわたる安全性の確保といったことへの御心配の声のほか、道路整備や河川改修などに関する御要望や建設予定地の絞り込みに当たっての考え方やスケジュールに関する御質問などをちょうだいし、県の考えを丁寧に御説明させていただいたところでございます。

 

■大野たつや
住民説明会においては、住民の皆様の多くが、地震や大雨などによって、上流部の処分場から汚水が下流地域に流れ、生活や農作物に悪影響がでるのではないかと、災害時の施設からの水漏れを不安、心配視される声が多く出ておりましたが、新たな管理型産業廃棄物最終処分場における災害対策について、林業振興・環境部長にお伺いしたいと思います。

 

●田所実林業振興・環境部長
南海トラフ地震への対応としましては、最大クラスの地震で想定されている震度を上回る地震にも耐え得るよう、十分な耐震性を備えた施設構造としてまいります。

また、集中豪雨など大雨への対応としましては、林地を開発する場合は、森林法に基づく開発許可を受ける必要がありますが、その許可条件におきまして、開発行為により下流域において水害を発生させるおそれがないことが条件とされており、これを満たす必要がありますので、大雨についてもしっかりと対応してまいります。
その他の災害対策についても、万全を期して対応してまいります。

 

■大野たつや
9月の住民説明会に参加された住民の皆様の間で、最終候補地はもう決まっているといった不確定な認識や情報により、説明会が混乱をまねいた場面もあったように思いますが、新たな管理型産業廃棄物最終処分場の最終候補地の選定に関して、現時点で決定された事実があるのなら、ご説明をいただきたいと思いますが、林業振興・環境部長にお伺い致します。

 

●田所実林業振興・環境部長
県として、既に1カ所に絞り込んでいるというような事実はございません。
1カ所への絞り込みにつきましては、これまでも申し上げておりますとおり、最終的には今回の現地調査に基づく分析結果や最終候補地の所在する3市町の首長、議会、住民の皆様の受けとめなどを総合的に勘案し、県議会の御意見を踏まえて、1カ所に絞り込んでまいりたいと考えております。

 

■大野たつや
この項の最後に、新たな管理型産業廃棄物最終処分場の整備に係る今後のスケジュールについて、決定していることがあれば、林業振興・環境部長にお伺いしたいと思います。

 

●田所実林業振興・環境部長
現時点で、今後のスケジュールに関して決定していることはございませんが、先般の現地調査の結果の説明会や、アンケートでちょうだいしました御質問や御意見について、県の考え方をわかりやすく整理しました質疑応答集のようなものを、来月には3地区の皆様にお配りさせていただきたいと考えております。

 

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4.災害対策について

 

■大野たつや

次に災害への対策についてお伺い致します。今年の夏は、記録的な大雨、命の危険のある温度とも言われた災害的な猛暑、台風も多く発生し、さらには大阪、北海道で大地震が発生するなど、自然の猛威が日本列島を次々と襲いました。

改めてこの度の一連の災害によりお亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災地の一日も早い、復旧、復興と被災された皆様方に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。私自身も7月の豪雨災害発生後、元防衛政務官で本県2区選出の広田一衆議院議員とともに県内西部地域で被害の大きかった、宿毛市、幡多郡大月町の現場に入らせていただきました。

現地ではすでにボランティアセンターが開設され、猛暑の中、多くのボランティアの皆様が、土砂や瓦礫の除去作業などを行っておられ、役場にも国土交通省の緊急災害対策派遣隊TEC−FORCEも入って情報収集に務めておられるなど、各機関の皆様が、それぞれの持ち場、持ち場で、懸命に任務を遂行されておられました。そうした、緊迫し誰もが不安な災害現場において、非常に頼もしく思えたのが、自衛隊の部隊が地元住民やボランティアの方々とともに、土砂や瓦礫の撤去作業などの活動をされていたことです。

自衛隊の皆様の黙々と力強く活動される姿、その姿に安堵された被災地住民の方も少なくなかったのではないかと思います。

そこで、この度の平成30年7月豪雨における、県内での自衛隊の活動内容について、危機管理部長にお伺いしたいと思います。

 

●酒井浩一危機管理部長
安芸市を始め、5つの市、町におきまして、堤防の浸食対策、孤立者の安否確認や救出、行方不明者の捜索、食料や燃料などの物資搬送など、さまざまな活動をしていただきました。

 

■大野たつや
それでは、県内で活動された自衛隊の延べ人数について、危機管理部長にお伺いしたいと思います。

 

●酒井浩一危機管理部長
本県を始め、徳島県、さらには、遠く三重県から延べ1,888名の隊員の派遣がございました。

 

■大野たつや
この度の豪雨災害において、陸上自衛隊第50普通科連隊をはじめ、被災地で支援活動に従事された皆様方にあらためて感謝とお礼を申し上げたいと思います。

混乱する被災地現場では、現場の最前線で復旧作業をされている地元住民やボランティア、自衛隊などの活動の情報や、被災地現場からの要求、要望などの情報が、自治体や県などの行政機関へ正確に伝わらないといった、情報のさくそうや混乱も多くあります。

今回私自身が災害現場で感じたことは、住民、自治会、ボランティア、地元自治体、自衛隊など、横の繋がりによる現場の情報共有の大切さと、さらに現場で意見集約されたことが行政機関に正確に伝えられ、必要な支援をスムーズに受けられる状況を作ること、そうした情報伝達体制の重要性でした。

そこで、災害時における自衛隊やボランティア、自治会といった現場で復旧にあたる各機関との連絡調整に関する県の役割について、危機管理部長にお伺いしたいと思います。

 

●酒井浩一危機管理部長機管理部長(酒井浩一君)
災害が発生した現場での連携や情報の共有につきましては、基本的には、地元の自治体に行っていただくものと考えておりますが、その対応が困難な場合につきましては、県が積極的に支援していく必要があると考えております。

 

■大野たつや
県では、豪雨災害対策推進本部を設置し、年間を通して豪雨災害への対策、対応を行うこととしておりますが、災害時における被災地現場と行政をつなぐ県の役割、情報のセンター機能などについてもご検討いただけたらと思います。


7月豪雨で全国トップの降水量を記録した本県において、比較的被害が少なかったことは、過去の台風や大雨による災害と戦ってきた本県の歴史、これまで行ってきた河川改修などの治水対策、災害対策が水害に強い県土づくりにつながっている成果とも言えると思います。一方他県においては、ダムの放流によって河川が氾濫し被害を拡大させた可能性が指摘されるなど、ダム放流の周知方法や体制についての検証も行われています。

そこで、豪雨が頻発する近年の本県におけるダムの危機管理体制について、土木部長にお伺いしたいと思います。

 

●福田敬大土木部長
洪水が予想される場合には、関係機関との連絡や今後の気象に関する情報の収集などを密に行うため、職員が参集し、洪水警戒体制に入ります。

ダムへの流入量が増大し、放流を行う場合には、事前に関係機関に連絡を行うとともに、ダム下流で生活する方々に対して、サイレン、掲示板及び警報車によって周知を行います。加えまして、出水期前には、避難指示などを発令する市町村との連携を確実にするために、最悪の場合も想定した洪水時の情報伝達訓練を実施しております。

 

■大野たつや
7月豪雨災害では、想定外の雨により砂防堰堤が土石流を食い止め被害を免れた地域がある一方で、他県では砂防堰堤を越えて土砂が住宅地に流れ込み、死者・行方不明者を出した事例も起こっています。

本県では、昭和50年の台風5号、51年の17号での災害を機に県下各地で砂防堰堤が多く建設されてきましたが、本県の砂防堰堤の設置数について、土木部長にお伺いしたいと思います。

 

●福田敬大土木部長
県が設置しました砂防堰堤につきましては、昭和40年代の度重なる災害ですとか、昭和50年、51年の台風災害などを踏まえまして、着実に整備を進めてきておりまして、現在約1,900基となっております。

 

■大野たつや
それでは、砂防堰堤の点検及び土砂の現状把握について、土木部長にお伺いしたいと思います。

 

●福田敬大土木部長
県では、砂防堰堤の損傷の有無や土砂の堆積状況につきまして、これまでも定期的に点検、把握をしているところでございます。一方、先の7月豪雨では、県内の至るところで山腹崩壊や土砂流出が発生いたしました。

このため、記録的な降水量を観測した地域を対象に、国とも連携し、被災後速やかに、ヘリコプターなどによる上空からの調査を実施するとともに、下流集落へ土砂流出が懸念される箇所につきましては、現地で目視調査を行いました。

その結果、大量の土砂を捕捉を確認しました砂防堰堤につきましては、今議会におきまして補正予算を計上しまして、早期に土砂撤去を行う予定にしております。

今後とも、砂防堰堤の権能をしっかりと果たせますよう市町村や地元企業などからも情報提供をいただきながら、適切な維持管理に努めたいと考えております。

 

 



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5.LCC就航と高知龍馬空港のバリアフリー化について

 

■大野たつや
次にLCC就航と高知龍馬空港のバリアフリー化についてお伺いいたします。

本県にとってはじめての格安航空会社LCC、ジェットスタージャパンの12月からの就航が決定しました。あらためて、片岡社長はじめジェットスタージャパンの英断に心から感謝するとともに、これまでの知事をはじめ県執行部や関係機関のご尽力に敬意と感謝を申し上げたいと思います。実は、私自身県議会議員にならせていただくまで、LCCを利用したことは一度もなく、知識すらなかったんですが、お隣にお座りの橋本敏男議員から、大野君安い飛行機があるぜ、とLCCを勧められ、高松空港から初めてLCCジェットスターを利用させていただきました。最初あまりに安い運賃に、安全面や機体の状態など多少の不安もありましたが、いざ搭乗してみると、フルサービスキャリアの飛行機と比べても、そん色のない安価で快適な空の旅をさせていただきました。

その後、橋本議員にご先導いただき、県民の会会派でジェットスタージャパンへも直接お伺して、高知への就航要請もさせていただくなど、本県への就航を待望していたところ、今般、高知空港への乗り入れが決定し、一県民として本当に嬉しく思っております。

私のようにLCCを知らない方が、県民の皆様の中にも、まだまだ沢山いらっしゃると思います。ジェットスターの就航を県民により広く周知して認知度をあげていくことが、今後の増便や搭乗率の向上につながり、県民の利便性、経済の向上へのカギになると思います。そこで新たに就航が決定した「格安航空会社ジェットスタージャパン」を広く県民に知っていただくためのプロモーション支援について、中山間振興・交通部長にお伺いします。

 

●川村雅計中山間対策・運営担当理事
LCCの路線の定着、維持のためには、多くの方々に知っていただき、御利用してもらうことが何よりも重要です。

そのため、マスコミや県の広報媒体の活用、路面電車のラッピング広告などによるPRを行うとともに、ジェットスタージャパンが行うPR事業への支援も実施してまいります。また、県民の皆様に向けましては、県内で初めてとなるLCC特有のチケットの購入方法や荷物の預け方等の周知も重要だと考えております。さらには、県内企業や旅行会社だけでなく、県人会など本県とゆかりのある団体や企業を通じたPRなどに加えまして、県外事務所と連携したイベント会場でのPRなど、さまざまな機会を捉えてPRを行ってまいります。

 

■大野たつや
昨年の6月鹿児島県奄美空港において、障害者が車椅子で搭乗できず、腕だけでタラップを這い上がるのを余儀なくされた事例がありました。

LCCの就航により、今後、世界中からお客様が本県に来ていただけることが予想されますし、どんどん来ていただけなくてはなりません。

 

ジェットスタージャパンの就航を機に、高知龍馬空港の改修なども計画されておりますが、空港の基本機能としてバリアフリー化への支援についても、よろしくお願い申し上げ、私のいっさいの質問を終わります。

ありがとうございました。

 

 

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